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インバウンド?ジャパン2017レポート

リノベを起点に地域資産を再構築、ブルースタジオ大島氏が語る「人が主役」のまちづくり

インバウンド?ジャパン2017

守山 久子=ライター 2017/07/21 日経アーキテクチュア

 空き家のリノベーションで地域交流の場を生み出し、海外からの旅行者をも巻き込むまちづくりへと結び付ける――。ブルースタジオ(東京都中野区)の大島芳彦専務取締役は、「インバウンド?ジャパン2017」(主催:日経BP社)で2017年7月21日、「リノベーションによる地域価値の再生 - 人が主役の小さなまちづくり」をテーマに講演した。

ブルースタジオの大島芳彦専務取締役
(撮影:清野 泰弘、以下同じ)
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 空き家問題の背景には、人口減少や少子高齢化に加えて次のような状況があると大島氏は指摘する。

 空き家は、建物を個人の資産として存続させなければいけないため、所有者が大きな負担を抱えている。かつての日本では「公?共?私」が三位一体で機能していたが、現在は「共」が欠落している。そして本来の建物は、失われた「共」の部分に属するものであった。

 こうした状況の下、リノベーションに求められるのは建物を社会的資産として共有していく仕組みづくりだ。「単に建物というハードを刷新するのではなく、建物と社会との関係を再構築していく。その際に手掛かりとなるのは、住んでいる『人』の価値や、毎日の暮らしが生み出す『蓄積』の価値。偉大なる日常の価値を、いかに見い出すかが重要になる」(大島氏)

 大島氏は講演で2つの事例を紹介した。1つは築45年から50年の鉄道会社の社宅団地を再生した「ホシノタニ団地」(神奈川県座間市、2015年6月)。もう1つは、街中のとんかつ店をミシンのあるカフェと海外からの旅行者を主対象とする旅館に改修した「シーナと一平」(東京都豊島区、2016年3月)だ。

 このうちシーナと一平は、大島氏が参画して全国で展開しているリノベーションスクールのプロジェクトとして進められた。海外からの旅行客が多く訪れる池袋に隣接した椎名町の立地特性と、老若の単身者と子育て世代が多い居住者構成。この2つを手掛かりに、リノベーションの具体像を考えていった。コンセプトは「ディープな日本を味わいたい外国人が集まるまち」とした。

 子どもにお手製のものをつくりたいと考える母親たちと、洋裁が得意な高齢者とを結び付ける場として既存建物1階に「ミシンカフェ」を設け、2階に5室の客室を並べた海外からの旅行者向けの旅館をつくった。カフェではミシンや布を用いたワークショップなどを開き、まちの人を呼び込む。周辺の商店街に点在する店舗は、宿泊者に対する食事などのサービスを補完する。

 「まちづくりのプロジェクトで大切なのは、サービスを受ける『消費者』ではなく、共感する『当事者』を育む親しみやすいビジョンを掲げること。『あなたでなければ、ここでなければ、いまでなければ』という視点で現況を整理すると、その地域ならではのオンリーワンの価値が見えてくる」。2つの事例を通して、大島氏はそう指摘した。

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